渡来人

攘夷の韓国 開国の日本 呉善花 文芸春秋

呉善花(おそんふあ)さんをご存知でしょうか。彼女は、この本の中でも書かれていますが、済州島出身の韓国の人でした。今は日本に帰化されています。韓国批判が辛辣なせいでしょうか。去年でしたか仁川空港で入国拒否になってしまいました。以前もあったとおもいます。この本は、最近のように辛辣な韓国批判をなさる前の作品です。この本の中では、自分を「さすらい」人とおっしゃって、韓国から日本の土壌に溶け込もうとする中で、揺れ動く気持ちを描いておられます。私は日本で生まれて育ちましたが、仕事で韓国に駐在していました。その時、なんとか韓国の人々と同化しようと結構努力しましたが、日本という環境で育ち作られてしまった感性のせいでしょうか。韓国の人々の中では、どんなに打ち解けてもどこかに疎外感を感じてしまいました。それを結局最後迄ぬぐい去ることができませんでした。それが、「さすらい」人の感覚なのかもしれません。この本は、エッセイなんですが、そこに古代の朝鮮半島から日本へやってきた渡来人の歴史をからませて書いておられるのです。飛鳥、北九州、出雲、相模・武蔵と古代の渡来人の足跡を追っておられます。何度も書かれているのが、「元々韓国人がもたらした神だったかもしれないが、韓国人はそれを失ってしまっているのに、その神を日本人は祀って大切に育てた」と言う内容です。そして、それこそが異文化を進んで受け入れ同化してしまう日本人の特質だと言われています。そうなのかもしれません。とっても良い作品だと思います。山本七平賞を受賞されています。唯一気になってしまうのは、文章の端々で日本人に対して気を使い過ぎだと感じる表現です。他の書物では、韓国をバシバシ批判されていますが、それは呉善花さんが未だ韓国の人であるからこそできることなのかもしれません。(売店で販売中、中古品は送料がかかります。ご注意ください。書籍をクリックしていただくと売店に飛びます。)
Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★★★
着想の奇抜さ ★★★
論理の力強さ ★★★★