卑弥呼と冢 高瀬航太郎 新人物往来社

卑弥呼と冢
魏志倭人伝には、いろいろな解釈がありますが、新しい解釈を行うにはそれなりに説得力のある裏付けが必要かと思います。高瀬氏のこの書では、邪馬台国大和説であり、卑弥呼・台与の年代を孝昭天皇から開化・崇神天皇の年代に該当することが前提として進められています。3世紀頭に卑弥呼が実在したことは誰も疑いませんが。考昭天皇から開化天皇は第5代から第9代の天皇で、定説では欠史八代と呼ばれている天皇達です。これを実在したと考えて、卑弥呼が誰にあたるかを、記紀や旧事紀の中から推測するというのは、どのようなものかと思われます。十一県主の娘の大井媛であるということですが、「なるほどー」と思う人は残念ながら少ないと思います。また、卑弥呼の冢は、箸墓ではなく桜井茶臼山古墳だと言われます。しかし、この古墳は4世紀初頭に作られたとされており、特に、出土した三角縁神獣鏡の一つが群馬県蟹沢古墳で出土したものと同范鏡であるということがわかっています。卑弥呼の墓に、同范鏡を入れる?、例えそれが、元になった鏡だとしても複製用の型を入れるなどありえないと思います。逆にこの古墳には、宗像神社があります。九州の宗像一族との関係があると思われるため、私にはそちらのほうが魅力的です。本文中に、大和説を補強されようと思ったのか、「郡より一万二千里」の解釈として、直線距離にするとそのぐらいになり魏志倭人伝は正確だと書かれていますが、その当時直線距離をどうやって測ったのでしょうか。ちなみに、書の最後に「紀年論」の問題も語られていますが、コメントはありません。(もしよろしければ、売店で中古品から御求めください。送料に注意してください。)
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★
論理の力強さ ★★

古代史を解く『鍵』 門脇禎二・森浩一 学生社

丹後王国でおなじみの文献史学者の門脇禎二氏と、ヤマトを中心に考えない考古学者の森浩一氏の対談をまとめた本です。青龍三年鏡、地域国家、継体王朝の成立、氏姓制度、隼人熊襲蝦夷、古代の女性、木簡というテーマを基に様々な見方の意見交換をされている内容です。久し振りに面白い本を読んだというのが正直な感想です。森浩一氏の得意分野が多いせいか、森氏見方が強く現れている内容ですが、森氏がある内容を深堀するのに対し、門脇氏はそれを流れの中の一事象として捉えコメントを発せられています。考古学者が一つの遺跡にこだわり、文献史学者が歴史の繋がりにこだわるのか、それとも、森氏と門脇氏がそういう視点から分析する学者なのかは、わかりませんが、時に行き過ぎとも思われる森氏の意見を、さりげなく否定したり肯定したりしている門脇氏のやりとりは、読んでいて、個々の内容や着目点だけでなく、楽しむことができました。読んでいて突っ込みどころは多々ありましたが、それはテーマ毎に機会を見て歴史ニュースや古代史探求レポートでコメントさせていただきたいと思います。一読の価値ありと思います。(売店で販売中、送料無料です。書籍をクリックしていただくと売店に飛びます。)
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★★★