「日本=百済」説 金容雲 三五館

こんなことを言っては、おこがましいことは十分承知していますが、私が辿り着いた日本建国の歴史に非常に近いのが、この人の分析です。私のアプローチは、日本書紀と日本語から始めて、中国の史書を読むことで、多分間違いないと確信が持てた内容です。つまり、私は、日本人として、日本という環境の中で日本中心にものを考えて、この結論にたどり着きました。この金容雲氏は、韓国人として三国史記から始めて、百済を矮小化していると気付き、突き詰めていった結果、この日本は百済であったという説に辿りつかれたようです。
誤解がないように言っておきますが、私は、日本が百済の一部であったとも、属国であったとも考えていません。兄弟国であったと理解しています。なぜ、兄弟国であったのかという理由は、この書に書かれている内容とほぼ同じです。
少し残念なのは、論理が弱い点です。説得材料が、若干乏しいように思います。もちろん、強い説得材料があったなら、日本史の教科書はとっくの昔に変わっていることになりますが。でも、彼が言っていることは、間違っていません。なんとかして、私は、そのことをきちんと実証したいと思います。

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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★★
論理の力強さ ★★★★

学問と夢と騎馬民族 江上波夫 日本経済新聞社

騎馬民族征服王朝説の江上波夫先生を知る一冊。私にとっては、幼少期や、中学、高校、大学時代のお話などどうでも良いのだが、それなりに面白く読ませていただいた。古代史などと言う学問分野は、あくまでも世の中に必要なものとは認識されていなかったのだと言うことが良くわかる内容でもありました。
何と言っても、II部「学問は探検である」が、この本のすべてです。とくに「日本における民族の形成と国家の起源」は、すべての古代史ファン、考古学ファン、考古学の研究者に是非とも読んでもらいたい文章です。1964年に東洋文化研究所紀要に掲載された論文です。まさしく古代史の教科書。必見です。絶対のおすすめの文章です。この論文のために、この本を手に取って下さい。
その後の、牧畜騎馬民族と農耕都市民族の違いも面白かった。生涯にわたり、騎馬民族を追い求めた江上波夫先生の史観です。やっぱり、江上波夫先生は素晴らしい。そう感じました。

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