吉備真備

吉備大臣入唐絵巻 知られざる古代中世一千年史 倉西裕子 勉誠出版

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皆さんは、「吉備大臣入唐絵巻」という物の存在をご存知でしょうか?私は、この本で初めて知りました。どうやら、アメリカのボストン美術館にあるらしい。12世紀から13世紀に作られた物のようです。この絵巻物は、遣唐使であった吉備真備が唐へ入ったところ、唐の役人が「こんな優秀な奴が来ては、我々の立場がない」として、高楼に幽閉してしまいます。すると以前に唐に入り同じように幽閉されてしまい、そのまま死んでしまった阿倍仲麻呂が鬼となって現れます。唐の役人達が出す、様々な難題を二人で考え解いていくという話です。この設定を知った人は、この話だけでも最高に面白そうと感じられると思いますが、この説話は大江匡房が書いた江談抄という本に書かれているお話です。実はこの話の中で、吉備真備は難解な「邪馬台詩」の解読に成功します。暗号のようなパズルのような文字の羅列から読み解かなければならない詩なのですが、作者の倉西裕子氏はこの「邪馬台詩」を「邪馬台国」に結びつけて考えます。そして、絵巻物自体が、弥生から続く日本の古代史の様子を封じ込めた物だと解釈するのです。第一章で古代を読み取り、第二章では、絵巻物に描かれた天平時代を読み取り、第三章では平安末期を読み取ります。全ての時代が凝縮されている絵巻という捉え方もできますが、倉西氏の歴史観を絵巻を通じて見た本という方が正しいかもしれません。題材が面白いだけに、「惜しいなー」というのが正直な感想です。ボストン美術館に行って、この絵巻は必ず見てきたいと思います。(売店で販売中、送料無料です。江談抄も売店に入れておきました。)
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読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★