「日本書紀」の呪縛 吉田一彦 集英社新書

本と日本史というシリーズの第一巻です。日本書紀に書かれている詳細を検討しようという本ではありません。日本書紀という書物によって、何が生まれたか、何がかわったか、また、日本書紀の研究にはどのような歴史があったか、そして、日本書紀というものをどのようにとらえればよいのかという内容が書かれた本です。
日本書紀という書物の、副次的考察をまとめたものと言えばいいのかもしれません。驚くべきような情報はないのですが、こういう本はなかったために、私には新鮮な感覚がありました。
それぞれの内容が、簡単に整理されていて、読みやすくもありました。また、簡単にまとめるために、作者の断定になっているのですが、いくつかのポイントで、「うーん、それはどうかな」という感想も持ちました。
欲を言うなれば、日本書紀があることで、これだけ世の中が変わったという指摘が欲しかったと思います。この本がなかったなら、どのように歴史は変わったかを言って欲しかったと思います。
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Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★★