桃太郎と邪馬台国 前田晴人 講談社現代新書

作者は、おとぎ話が作られている根底には、「倭」の時代にあった出来事から発したなんらかの影響が残っているのだと考え、一寸法師、桃太郎、浦島太郎を検証しながら、「倭」の時代にあったであろう痕跡と結びつけていきます。そもそも、お伽噺のほとんどは、一部平安時代に遡る物もありますが、室町時代頃に作られたものが多く、江戸に入ってそれが本格的な物語にされたというのが現実だと思います。そこに、「倭」の時代の記憶が刷り込まれているのかというのは、やはり、大きな疑問ではあります。ただ、この本では取り上げられていませんが、竹取物語などは壬申の乱で功績があった実在の人物がでていますから、奈良時代にその原形が作られたのではないかとも言われています。そう考えると、可能性がないわけではありません。例えばですが、遣隋使や遣唐使として中国に渡った人が、久々に日本に変えると浦島太郎的な存在になるわけですから、海をわたっているから、とか、「鬼」というものは、とかは、やはりどの時代でも起こりうることだと考えられます。それを「倭」の痕跡と考えるのは如何な物かとは思います。ただし、丹後の遺跡や歴史の話が古代の「倭」やヤマト政権に繋がるというのは可能性が有ると思います。羽衣伝説や、天女伝説、浦島太郎の話は、少し可能性があるかもしれないと感じました。その点については、もう少し深堀してみても面白いのかもしれません。(本の写真をクリックいただければ、アマゾンのショップに繋がります。)
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読みやすさ  ★★★
着想の奇抜さ ★★★★★
論理の力強さ ★★★