「反」日本史 須藤公博 講談社

副題「名門大学入試問題で知る」という副題がついている通り、駿台予備校の講師の方が、大学の入試問題から、最新の通説をどのように理解するかをまとめた本です。
一つ感じるのは、大学入試の問題がつまらない。奇天烈な説を取り上げて、それを入試問題にはできないでしょうけど、所詮は現在の高等学校の指導要綱がベースにあるわけですから、自ずと限界があるのです。
例えば、最初にとりあげられているのが、筑波大学の論述問題、「推古朝の政治と文化の特質について論述せよ」で、使用する語句が、厩戸皇子、三経義疏、蘇我馬子、渡来人。つまらん問題ですよね。私のように、聖徳太子がいなかった説ではなく、推古天皇いなかった説のものにとっては、それって日本書紀の嘘をそのまま書けと言う問題としか思えないのです。
問題とは大きく離れてしまいますが、解説というか、問題の窮屈さに対する説明の面白さが光ったのは、浅野内匠頭はなぜたった一時間の取り調べで切腹に?という、解説。視点の置き所はなかなかです。しかし、入試問題はやっぱりつまらなすぎ。こんな入試で選抜しているから、大学から世界を変えるような奴が出てこないのだと思います。クイズ王を入学させたい学校は、所詮二流の学校です。
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Pasted Graphic 4

読みやすさ  ★★★
着想の奇抜さ ★★★★
論理の力強さ ★★★